赤ちゃんがどのようにして言葉のブロックの積み上げ方を習得していくかが、後のその子の読解力・言語能力に影響を及ぼす
ワシントン発―幼児の言語習得の研究分野において、指導的立場にいる科学者の一人が、今日開かれた幼児期における認識能力の発達をテーマにしたホワイトハウス・サミットで次のように語りました。言語習得の際の初歩段階のプロセスが、後年の読解力に極めて重要な役割を果たしているというのです。
ワシントン大学の「知力と脳と学習についての研究センター」の共同ディレクターであるパトリシア・クール女史は、ジョージタウン大学に集まった政府・教育・地域社会のリーダー350人以上もの人々を前に、自らの研究内容について説明しました。それによると、新しい調査結果によって、読解力に問題のある子供の原因を突き止めることが容易になるかも知れないということです。
「私どもの研究から、子供が生後6ヶ月の時に示す言語音を聞き分ける能力と、その子が後年持つ言語能力とは関連性があることが判っています。」と彼女は述べました。「子供が音声ユニット、つまり言葉のブロックの違いをよりよく認識すればするほど、後になってもっと複雑な言葉の技術をより上手に使いこなせるようになるのです。言葉と読解の能力に問題のある子供は、話し言葉に使われる基本的な音声ユニットの認識にも問題を抱えているものです。」
「幼年期の話す力から後の言語能力が予測できることが判ったため、新しいテストによって、将来言語能力に問題を抱える危険性があると判断される子供を、極めて早い段階で発見することができるようになるという大きな希望が芽生えたのです。早期に発見すれば、そのための治療を行うことができます。」
クール女史がコメントを述べたのは、ローラ・ブッシュ大統領夫人が主催する「読めるようになれば勉強も始められる」と題する2日間に渡るサミットでの初日のことです。このサミットの目的は、早期教育活動の研究を広く一般に知らしめ、効果の証明された教育方法を紹介して子供の入学準備のために親や教育専門家が利用できるようにすることです。
クール女史は、幼児を「世界で最も優秀な学習者」と呼び、自分の研究は赤ちゃんが生まれてすぐに学習を始めることを世に示すことだと述べています。女史の研究により、子供は誕生と同時に「社会の一員」であり、早い時点で既に子音と母音の違いをどの言語においても聞き分けていることが明らかになっています。
しかし、ある特定の言語を習得するには、その中でどの音を聞き分けることが重要なのかを知る必要がある、と女史は述べています。例えば英語では、「R」と「L」の発音を区別します。しかし、日本語では区別しません。このようにして、子供は生後12ヶ月に達する頃にはそのルールを習得している、と女史は述べました。
「子供はまるでプリンターのつながっていないコンピューターのようなものです。ただ耳から聞くだけで、話し始める前に無数の情報を貯めこむのですから。そして、例えばフランス語や日本語よりも英語の方が子供の頭脳には適合しやすいのです。子供は驚くほど早い時点から吸収します。彼らはまさに、ただ私たちが話しているのを聞いているだけで言葉をマスターしているのです。」と、女史は述べました。
子供とコミュニケーションをとる時、親や世話をする人やその他のほとんどの人が無意識に使う言葉を「母親ことば」あるいは「親ことば」と言います。女史は、この誇張された適格な話し方は世界中で使われており、赤ちゃんはそれを聞いて学ぶのを好むということを発見しました。
クール女史は、研究者、産業界のリーダー、教育専門家、そして政府機関の間にさらなる協力関係を築くべきだと訴えました。それは幼児期の成長についての研究をサポートするためだけでなく、そこから得た結果を親や教師と共有するためでもあるのです。ワシントン大学で新規に開設されたこの「知力と脳と学習についての研究センター」が、そのような協力関係の一つのモデルです。ここでは、早期教育と脳についての学際的な研究を行っており、その共同経営者として資金を供給しているのが、研究活動を支援してその成果を親や教育専門家に広く伝えることを使命とするタラリス調査研究所です。また、米国国立衛生研究所と米国国立科学財団も研究センターの活動を支援しています。センターの共同ディレクターで、子供の認識と社会的発達の研究分野において専門家でもあるアンドリュー・メルツォフ氏も、このホワイトハウス・サミットに参加しています。
「知力と脳の発達を理解することは、次の時代の科学の大きな最先端領域であり、それが現実社会にもたらす影響はかなり広範囲に及ぶものとなります。」と、メルツォフ氏は述べました。「子供の言語と識字の能力は、幼児期の早期に世話をする人が心がけることで向上します。例えば、子供との対話を促すような形で本の読み聞かせをすることや、語呂合わせゲームをすることなどは、読解力の基盤を作ると研究者が明らかにしています。」
「一般の人々は、子供がいかにして学習するのか科学によって示された事実をもっとよく知る必要があります。と同時に、どんな教育方法に効果がなく、どれが科学によって立証されていないかということも知らなければなりません。」とクール女史は述べました。「親ことばで接すれば子供の学習能力を伸ばすことができるかもしれないと説明すると同時に、9ヶ月の赤ちゃんにフラッシュカードを見せても、早く字が読めるようになるわけではないことも説明しなくてはなりません。」
メルツォフ氏はこれに加え、こう述べました。「目標は、幼い時から子供に無理強いしてスーパーキッズを作り出すことではなく、全ての子供のもつ潜在的な能力を最大限に引き出すということなのです。それには教育が重要な鍵となります。」 |